「紀伊山地の霊場と参詣道」は2004年7月に「世界の文化および自然遺産の保護に関する条約」の「世界遺産一覧表」に登録されました。この一覧表への登録は、その文化遺産や自然遺産が、全人類の利益のために保護されるべき顕著で普遍的な価値を有することを証するものです。
「熊野参詣道(中辺路)」は、約千年前に都の人々が熊野詣を始めて以来、最もよく知られた道で、紀伊半島西岸の田辺から東進して山中に分け入り、本宮から新宮、那智を巡っています。途中には熊野権現の子神を祭る「王子社」があり、人々は参拝を重ねながら、「熊野三山」を目指しました。・・・
この参詣道は森厳な自然に宿る神仏に直接祈願する目的を抱いた人々が、修業を繰り返しながら歩いた「祈りの道」であり、周囲には、信仰の基盤となった文化的景観を保護するために緩衝地帯が設けられています。